【LIVE REPORT】零[Hz]、8周年の節目に刻んだ、共存する未来への意思「これからも一緒に生き続けてほしいと思います」

零[Hz]に触れるたびに感じる、揺るがない“団結力”。メンバー間は言わずもがな、ファンを含めた彼らを取り囲むすべての人々を指す“チーム零[Hz]”とバンドとの絆は、結成からどんなに月日が経っても不変で、それどころか年々強固になっている。とりわけ周年という節目には、その関係性はより一層鮮明に見えてくるというもの。
毎年恒例となっている、零[Hz]の周年を祝うワンマンツアー『SIXAXIZ』。結成8周年を迎えた今年、1月から全15公演を巡ったツアー『SIXAXIZ -2026-』は、3月23日の恵比寿LIQUIDROOM公演にて完遂した。8周年を迎えた零[Hz]が繰り広げたライヴは実にアグレッシヴで、その様子はバンドの成熟さを含めて、活動の充実ぶりや絶好調なコンディションを物語っていた。

登場SEから『TRINITY∴ONENESS』へとシームレスにつなぐと、冒頭からモッシュの波が豪快に広がり、幕開けに花を添える。間髪入れずに続いた、荘厳かつハードな『DYSTOPIA』ではヘッドバンギングの嵐が巻き起こり、『IDEATRUMP』ではROY(Vo)が凄まじいロングトーンを響かせる。さらに、メンバーがドラム前に集結して呼吸を一つにする場面からも、ステージ上の洗練ぶりは一目瞭然だった。そこへ、Rio(Gt)とLeo(Gt)が奏でるアコースティックギターの音色が楽曲をパワフルに押し上げる『raison d’etre』を投下すると、零[Hz]ならではのロックサウンドが炸裂し、一体感を帯びながらライヴを作り上げていく威力はオープニングから実に圧巻だった。

「今年で零[Hz]、8周年を迎えることができました!」というROYに対し、ファンが「おめでとう!」と応える掛け合いも、ツアーを通してすっかり恒例となっていた様子。「各地のチーム零[Hz]と培ってきたものがあります。それを今日はここにぶつけ合いに来たんで、全員で思いっきりいこうぜ! 楽しもうぜ! ライヴしようぜ! とばしていくぞー!」と露わにした意気込みへと呼応するように、『HERO』ではさっそくクラップが湧き起こる。その場に起こる絶景はライヴを通じてコミュニケーションを図ってきた集大成でもあり、その中で力強く響き渡ったTEIKAのベースソロも痛快。さらに『Changing Mrs.SATELLITE』では、LeoのスリリングなギターとRYOGA(Dr)のバスドラムが、会場の熱量を引き上げていった。

暗転を挟んで披露された『声の行方』の繊細な表情が、静と動のコントラストを生み出す起点となる。『叶えたい夢と、守れない君と』でも、じっくりと届けられる歌の力と、RioとLeoが奏でるギターソロの橋渡しが、エモーショナルな余韻を深めていった。ここでひときわ胸に沁みたのが、昨年12月にデジタルリリースされた『どうかこんな世界でも』だ。演奏前、ROYは波乱万丈だったとも言える8年間を振り返りながら、「全員ひっくるめて、僕たちの生きる理由です。だからどうか、これからも一緒に生き続けてほしいと思います。愛を込めて歌います」と語りかけたメッセージが、“愛の歌”とするこの曲の輪郭をより浮かび上がらせた。そのうえ、楽曲に込めた思いをより深く、説得力を帯びた形で届けられるのも、息の合ったバンドアンサンブルと軌跡を重ねてきた“今の零[Hz]”だからこそ。さらに胸を打ったのが、「これからも共に生き続けよう、その誓いを胸に!」と放たれた『AXIZ』への流れだ。伝えるべき愛情と、アイデンティティを確立しながら突き進んでいく意志が重なり合い、この瞬間、零[Hz]がこの日のライヴに込めた核心に触れることができたようにも思う。

気づけばライヴは終盤に差し掛かり、『POSE』ではラウドなサウンドにメンバーもファンもタガをはずしていく。「“俺たちの”かっこいいところ、見せつけてやろうぜ!」というROYの叫びに続き、この曲のキラーフレーズ“You should be just the way you are”(=君は君らしくいるべきだ)の大合唱が強烈なメッセージを突き付けた。さらに、「派手に暴れようぜ!」と言った通りに白熱した『DRESS HOMUNCULUS』を経て、ラストを飾ったのは『SINGULARITY』。ギターの緻密なプレイが疾走感を煽り、ROYとTEIKAが拳を突き合わせる一方で、後方ではRYOGAが笑顔でダイナミックなドラムを叩き上げる。“一心同体”という言葉が、これほどまでにふさわしい空間があるだろうか――そんなふうに思えるほどに躍動感が迸っていた。締めくくりに告げられた「9年、10年、15年、20年と音楽一緒にやり合おうぜ!」というROYの言葉はシンプルながらも、共に音楽を鳴らしながら時を重ねていくことこそが零[Hz]にとってのエネルギーであると、強く印象付けていた。

なお、この日は零[Hz]にとって2回目の恵比寿LIQUIDROOMのステージだった。1回目はまだコロナ禍だった頃で、シングル『VENOM』をリリースしたときのこと。そこで、アンコールでは当時も演奏された『Loved One’s』をアコースティックスタイルで届け、「アンコール1曲目は、“お別れのありがとう”でした。ここからは“これまでもありがとう”、“これからもありがとう”という気持ちを込めて歌っていこうと思います」と、以降アッパーな5曲を披露した。その締めくくりとなったのは、まさに『VENOM』。先述した通り、コロナ禍にリリースされてから、すっかりライヴ曲へと進化してきた楽曲だ。そして、ダブルアンコールがかかり、ROYは「8年歩いてきたと思うと長い道のりだったけど、まだ俺は道の途中だと思ってる。そしてこのツアーで、より一層伝えたい気持ちがこの曲に詰まってます」と『SURVIVE』を披露した。“生き続けていく”思いを分かち合うように、足並みをそろえた着実な歌と演奏、そこに思いを一つに掲げられたオーディエンスの手が、眩しいほどに目に焼き付いている。

終演後には、手渡されたフライヤーにて新たにワンマンツアー「ECLIPSE DOMINION」の開催が発表された。さらに、“limited LIVE”と銘打たれた公演がHOLIDAY SHINJUKUで行われることも明らかとなり、詳細の発表が待たれる。これまで積み重ねてきた歴史と、その先の未来を同時に提示するようなセットリストで構成された8周年記念ライヴは、過去とこれからを確かに結びつけながら、“共に生きていく”という意志を深く刻み込む時間となった。
写真 かわどう / ササキアミ
レポート・文 平井綾子
[セットリスト]
-SE-
01. TRINITY∴ONENESS
02. DYSTOPIA
03. IDEATRUMP
04. raison d’etre
05. HERO
06. Changing Mrs.SATELLITE
07. 声の行方
08. 叶えたい夢と、守れない君と
09. どうかこんな世界でも
10. AXIZ
11. POSE
12. DRESS HOMUNCULUS
13. SINGULARITY
-EN-
01. Loved One’s
02. Dahlia
03. YAIBA
04. DarthHerz
05. Freedom? or Liberty?
06. VENOM
-WEN-
01. SURVIVE
