【LIVE REPORT】Royz、新たな縁を紡ぎ出した主催イベント「GOD PARTY vol.1」開催! シーンに希望を見出す軸となる自覚「たった1回では終わらせません」

Royz Presents 「GOD PARTY vol.1」
2025年6月11日(水) Spotify O-EAST
【出演】Royz / ΛrlequiΩ / 蛾と蝶 / XANVALA / ビバラッシュ / まみれた

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Royz主催によるイベント『GOD PARTY vol.1』が、6月11日にSpotify O-EASTにて開催された。本公演にはRoyzをはじめ、ΛrlequiΩ、蛾と蝶、XANVALA、ビバラッシュ、まみれたの6バンドが出演し、会場に集まった観客たちを巻き込んで盛大な“パーティー”を繰り広げた。

昨年末、Royzが一念発起してカウントダウンイベント『GOD FES』を開催したことも記憶に新しいが、その際に話していた“また”の機会がこんなにも早く実現するとは誰が想像できただろう。Royzのライブ中に開催に至る経緯について語った昴(Royz / Vo)曰く、『GOD FES』は“どっちかっていうと、今までご縁があったみんなとやりたい”という意図があったそうだが、“知り合いだけでは限界がある。新しいバンドたちとのいつかの対バンを待つよりも、自分で作ったらええやん”というのが、今回の『GOD PARTY』ということらしい。出演バンドに触れた際にも、「今日は間違いないなっていう組み合わせ、あるやん。でも、(何が起こるか)“わからん”。これがやりたかったの!」と、新たな縁を紡ぐからこそ未知な部分は大いにあれど、確実に未来に繋がる第一歩ともなる1日を、Royzがまた作り出したのである。

◆まみれた◆

記念すべき『GOD PARTY』初回の幕開けを飾ったのは、2025年1月に衝撃的な復活を遂げた《まみれた》。赤いサーチライトが照らすステージに喪服姿のメンバーが現れると、すぐさま伐(Vo)が「全員、床下に引きずりこんでやる!」と叫びをあげた。実に心穏やかでない、“パーティー”だというのに。しかしそう思った時点で、すでに彼らにしてやられていたのだ。

陰湿さを助長させた「指名手配が指名手配」からスタートしたライブは混沌を極め、「おい、殺す気あんのか!今日はな、仲よしこよしでやってんじゃねえよ。俺たちはクーデターを起こしに来たんだよ、わかるか!俺たちみたいな受け入れられない音楽でEASTに立たせてくれたRoyzに敬意と殺意を贈ります」と、「死因:暮らし」では「これが覚悟の違いだ!」とお立ち台からステージの床へ豪快にダイブした伐。MCで、交流があるという公大(Royz / Ba)から「君は嘘をつかない。ヴォーカルに向いてるね」と言われたという初対面でのエピソードを話していたが、まさにそれである。終盤に畳みかけたのは、もはやキラーチューンを通り越した凶器ですらある「お邪魔します」と、ラストに伐がギターを手にして「ぬるいヴィジュアル系を殺す歌」と紹介した歌もの曲「斜め上からの日常」。究極なまでの劣等感やマイノリティを日常に投影しながら、吐き出し続けるカリスマの正体に気づいた“三人”――つまり、伐の存在意義を見出した隆世(Gt)、かる。(Ba)、森田(Dr)と共に“まみれたをやる”ことをひたすら全うしていたアクトを通して訴えていたのは、正解か間違いかなんて関係ない、自分の信じたものに「本気になれ」ということだった。

◆ビバラッシュ◆

登場するなり、メンバーが一直線に並んでパラパラからのオープニングとなった《ビバラッシュ》のステージ。のっけから「それゆけ!バンギャルちゃん」で、あらゆるバンドのファンに共通する“ライブ命”のバンギャル魂に火をつけていき、「ナチュラルバイセコー」では“チャリに乗る”アクションで一体感を生み出すも、お馴染みとなっている間のMCタイムでは、「9年やってきて、やっとRoyzさんとお近づきになれた!」とRoyzへのリスペクトを存分に込めたトークを展開した。ちなみに、2曲目に披露していた「なにしてんねん」の選曲は、ビバラッシュもRoyzと同じく根幹には“大阪バンド”という共通点があることを意識してのことだったようにも思う。

いろんな“メン”が登場する「メン類が大好き」では、“イケメンが大好き”の部分で昴の顔パネルも登場し、小道具のラーメンも駆使してエンターテインメントグループの本領を見せつけた。しかし、ビバラッシュの侮れないところは、「ヴィラン」で発揮していた体が震えあがるほどのラウドさを持ったバンドサウンドのクオリティの高さと、ビブラートが効いたるいまるの歌唱力を繰り出す部分にある。“アゲみ集団”を謳いながらも音楽で勝負できる側面を持ち合わせながら、「〈GOD PARTY〉、神の領域だ!ラスト一緒にやり遂げてくれるか!」とラストにスパークしたのは「踊らされた人生」。「お前の人生、お前が踊れ」と、演奏の前に必ず叫ぶこの言葉が、この日は「憧れの人に会えた、また夢が一つ叶いました!」と満面の笑みを浮かべていたるいまるをはじめ、ビバラッシュのまっすぐな生き方が呼び起こした結果を表しているようでもあった。

◆蛾と蝶◆

《蛾と蝶》のターンは、幕を開けて間もなく「〈GOD PARTY〉やれるか!今から神々に喧嘩を売るんだぞ、やれるか!」と創真(Vo)がじっくりとプロローグを作り上げることから始まった。アンニュイな空気が立ち込める最新シングル「操リ糸ハ嗤ウ」を筆頭に、隙を与えない展開は実に見事。そのうえフロント陣がステージの最前線へと躍り出れば、各々のキャラクターを惜しみなく発揮しながら攻めていき、創真も「そんなんじゃ神に届かない!――EAST、ぶちかましてやるから覚悟しとけよ」と脅威を覗かせた。

しかし、「Royzの昂とは、出会って約10年になります。10年にもなるのに、1回も対バンしたことないんですよ。今日でようやく、蛾と蝶で対バンできて誇りに思います。(※一色日和を指さして)決してコネの力ではありません、ちゃんと実力で出ました。よろしくお願いします」と、話の節々に親しみやすさが滲み出るのが憎めないところ。後半は、「どこまでも高く飛びたいという思いを込めた曲」と蛾と蝶のアンセムである「アゲハ」を雅やかに披露するも、それを攻撃性というベクトルに180度方向転換した「第八罪」では、“だったら 今 死ね”と叫び合ってフロアの熱を大いに高めていった。そんな狂騒が嘘かのように締めくくりに用意されていたのが「雨宿り」で、ナイーブに浸らせるエンディングとなった。激情と虚無、真逆ながらもどちらにも起こり得るのが感情の飽和で、これはまさに“蛾と蝶”に重なるところがある。そこで、「俺たち蛾と蝶は、君たちがどうしてもつらいなと思ったときに心の支えになるようなバンドを目指します」と創真が伝えていたことこそが、彼自身の、ひいては蛾と蝶というバンドの存在意義を呈しているようにも思えた。

◆XANVALA◆

昨今、著しいスピードで進化を遂げている《XANVALA》が、この日も見事にやってくれた。演奏がはじまったステージへ、巽(Vo)がゆっくりと登場してプレイした「ラブソング」。初っ端から観客を黙らせるほどに魅了する様(さま)は圧巻で、曲名とは裏腹にどこか“神”や運命に悪態をつくような言葉が連なる曲を1曲目に据えたことにも思わず感嘆してしまった。そして、弦楽器陣の多彩なプレイが光る、まさしくXANVALAの最新にして最強の音楽的アプローチを込めた「ヴァジュラ」へと休みなく攻めていき、自信が漲るようなプログラムで会場中を引きこんでいく。

極めつけには「MY BLACK」で「今日、ココを選んだことを大正解にしてやる」と清々しいまでに“そうするべき”というポリシーさえも露呈していった。「Royzの皆さん、呼んでくれてありがとうございました。なかなかない機会だからさ……初めて見た奴、全員引き摺り込むぞΛ(ラムダ / XANVALAのファン)!」という巽の一声に応えるように、目を見張るほどの歓声が巻き起こった。直前の一喝に続いた「Joke」では、Λを先導する独壇場のように歌い上げていた巽がマイクスタンドを担いで歌うなどして、統率力という名のポテンシャルを発揮。ラストは、「かかってこい!」という客席からの鼓舞の一言を合図とした「デスパレート」。艶っぽく「おいで」と誘う歌に対してコーラスの声をあげるΛたちと共に作り上げた、互いを肯定し合う空間に起こる連帯感には、敵なしの風格すらある。まさに、曲中に巽が笑顔でΛに放った「素晴らしい!」という一言を、第三者からも贈りたいほどだった。

◆ΛrlequiΩ◆

今回の出演バンドの中で唯一、バンド単位でRoyzとの関係が深いのが《ΛrlequiΩ》だ。先述した『GOD FES』に続き、『GOD PARTY』といったRoyzが起こすムーブメントには、やはりいてほしい存在。だからこそ、この日のトリ前を担っていたのも至極納得だった。ライブは、肌身で感じることから得る“希望”を放った「消えていくオレンジの空へ」から豪快にスタートし、「愛したい景色が目の前にあるんだ!」と、衝動的に力を込める暁(Vo)の歌声とエッジを効かせて轟かせるバンドサウンドがみるみるうちにフロアを飲み込んでいった。「omit」ではニヒルな表情を見せながらも、暁は「神っていうのは、自分で世界を作る人のことを言うんだ。はりきってどうぞ!」と焚きつけたが、それはオーディエンスのみならず、後に控える、この空間を作った主催者であるRoyzに向けてでもあったように感じた。

「見える?バックドロップ。(※1バンドずつ読み上げる)はじめましてもあって、久しぶりもあって、空気が循環しているような感じがしていいですね、ドキドキします。でも、楽しみの裏に不安が残ってないとドキドキできないもので、それを踏まえてバックドロップを見てもらえると、“Vol.1”って入ってますよね。続けていく意思を感じるというか、さらにRoyzがかっこよく見えるというか。今日、こんな楽しそうなことに呼んでくれたRoyzに感謝だし……とりあえずRoyzに拍手。今ので伝わったかな?どれくらいRoyzが好きで、どれくらい楽しみにしていたかが。僕がやりたいのはただ一つ、〈GOD PARTY〉を特別な1日にしたいっていうこと」
MCで話していた暁の言葉はさすがの説得力を帯びていて、そこへ続いた「世界の終わりと夜明け前」がまさしく、循環を繰り返す中で新たなものを構築していくことの大切さに皆で手を伸ばし、その成果を掴み取っていくような光景を作り上げていた。そして、最後に投下した「ダメ人間」でも「世の中誰も助けてなんてくれないぞ! だからどうか、ここまで取りに来てくれ」と、貫き続けた進取果敢の念。同調するわけでもなく、それでいて“ダメ人間”の呼称を背負ってもなお強くいられるのは、絶望と希望を体現するΛrlequiΩという存在あってのことだと胸が熱くなる一時だった。

◆Royz◆

“神”に例えしバンドたちが集うパーティーのクライマックスを飾ったのは、もちろん首謀者である《Royz》だ。「KAMIKAZE」の和旋律なイントロが流れだす中、幕が開いていくと同時に後光が差し込むようにして、“下剋上”と書かれたフラッグを担いだ昴(Vo)を筆頭にメンバーの姿が露わになった。

荘厳しくも鋭さは健在で、「派手なパーティーやろうぜ!」と「VENOM」から大いに勢いづき、ゴシックな雰囲気に塗り替えて舞踏会の情景を描き出した「LILIA」と、Royzなりのパーティーを画にしていく。そして、「16年バンドやってると、何があるかわからない」と前置いて取り上げたのはSNSを中心に“バズり中”の「丸の内ミゼラブル」に関する話題で、これを受けて新宿の巨大ヴィジョン2ヵ所で「丸の内ミゼラブル」のアニメーションMVが放映されることと、東京メトロ丸ノ内線の全駅(28駅)にポスターが掲示されることを発表。さらに、「ライブ、驕ります」と池袋・サンシャインシティ噴水広場でフリーライブの開催にも触れていた。

もちろんここでも憂い満載に「丸の内ミゼラブル」を披露したのだが、るいまる(ビバラッシュ / Vo)を呼び込んで「一緒に歌おう」と「キュートアグレッション」で狂騒を起こすと空気は一変。

「るいまるくん、ビバラッシュ、今後ともよろしくお願いします。笑顔にさせてもらいました」とお立ち台の上でヴォーカル同士が固い握手を交わすと、「RAIZIN」から再び決死の思いをぶつけるようにしてラストスパートへ突入し、エンディングを飾ったのは、今のRoyzの軸を力強く、そしてまっすぐに歌い上げた「GIANT KILLER」。曲中に「神々のバンドにふさわしいファンであれ。胸を張れ!」という昴の言葉もあった通り、“誇り”というものは人を強くするものだと痛感させる、主催者のメッセージがこもった見事なステージで締めくくったのだった。

「僕たち、3~4年前までは自分たちで何かを起こすというタイプのバンドではなくて、どちらかというと受け身の方のバンドやったんやけど。〈GOD FES〉に続いて〈GOD PARTY〉なんていうのをやるようになってしまいました。最近ヴィジュアル系バンドの主催、多くない? 自分たちで物事を発信して、今まで普通に、平坦に歩いていたら出会うことがなかったものを見つけに行っているシーンになっている気が、すごくして。もしかしたら俺らがその軸として走れてるのかなと、そういう自覚が生まれてきました。これからも、よろしくお願いします!」――昴

終演の挨拶の中では、Royz自身の大きな夢を叶える場として9月26日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)に立つこともしっかりと伝えていた。こうして幕が閉じ、全工程が終了……となるはずだったのだが、とにかく“アンコール”の声が鳴りやまない事態に。これに応えて再び登場したRoyzは、暁(ΛrlequiΩ / Vo)とるいまる(ビバラッシュ / Vo)と共に「恋花火」でお祭り騒ぎのフィナーレを飾ったのだった。

きっと、誰しも“覚悟”や“自覚”はとっくに持っていたのだと思う。しかし分岐点は、それを実行に移せる自信や力があるか否か。少なくとも、この日『GOD PARTY Vol.1』に集い、“仲間”となったバンドたちにはそれがあり、彼らの存在こそが音楽シーンの希望なのだと強く感じることができた。だからこそ、「たった1回では終わらせません」という昴の言葉を大いに支持していきたい。

Photo◎上溝恭香(Kyoka Uemizo)
Report◎平井綾子(Ayako Hirai)

[SET LIST]

まみれた
1.指名手配が指名手配 / 2.死因:暮らし / 3.隣の席の卑猥ちゃん / 4.もしもし / 5.お邪魔します / 6.斜め上からの日常

ビバラッシュ
1.それゆけ!バンギャルちゃん / 2.なにしてんねん / 3.ナチュラルバイセコー / 4.メン類が大好き / 5.ヴィラン / 6.踊らされた人生

蛾と蝶
1.操リ糸ハ嗤ウ / 2.残響 / 3.アゲハ / 4.エンドロール / 5.第八罪 / 6.雨宿り

XANVALA
1.ラブソング / 2.ヴァジュラ / 3.MY BLACK / 4.Joke / 5.鱗粉 / 6.デスパレート

ΛrlequiΩ
1.消えていくオレンジの空へ / 2.omit / 3.STIGMAS / 4.血ヲ通ワセロ、ソノ命全テニ。 / 5.世界の終わりと夜明け前 / 6.ダメ人間

Royz
1.KAMIKAZE / 2.VENOM / 3.LILIA / 4.丸の内ミゼラブル / 5.キュートアグレッション / 6.RAIZIN / 7.GIANT KILLER