【LIVE REPORT】零[Hz]、「Nebul∀」と題したロングツアーがついにスタート!――「零[Hz]史上最高のツアー、始めようぜ!」

零[Hz]
ZEROHZ LIVE TOUR 2025「Nebul∀」SAGA 1 ~ZilemmA~
2025年5月9日(月)Zepp Shinjuku

零[Hz]にとって、2025年の活動におけるハイライトともなりえるであろう「Nebul∀」(読み:ネビュラ)と題したワンマンツアー。今回はSAGA 1,SAGA 2と二段階で日程が組まれており、5月9日のZepp Shinjuku公演を皮切りとしたSAGA 1では、7月23日にZepp DiverCityにて迎えるファイナルまで全22公演を行い、9月からスタートするSAGA 2では全14公演を行ったのち、10月23日にLINE CUBE SHIBUYAへ辿り着くという総計36公演のロングツアーとなっている。はじめに“今年のハイライト”と予感したのはツアーの規模感はもちろんのこと、1ツアー中に名高い会場でのライブを都度用意していることも理由としてある。さらに、ツアー初日となるZepp Shinjuku公演には「~ZilemmA~」、Zepp DiverCity公演には「fetus」、そしてLINE CUBE SHIBUYA公演には「DYSTOPIA」と、ポイントとなる公演にはそれぞれ別途タイトルが添えられており、これらすべてを踏まえて零[Hz]が壮大なるSAGA(=物語)の中で大きく進化を遂げようとしていることが伺えることも大きい。

「これからも零[Hz]を大きくしていきたいなと、広めていきたいなと、そんな思いを込めて「Nebul∀」というツアータイトルを決めました」とROY(Vo)が語ったのは、ツアー初日のライブでのことだった。“Nebula”という星雲を意味するワードを用いたツアータイトルの表記にある“∀”には“すべて”という意味があり、しかもタイトルロゴにしてみると“Ⅴ”のように見えなくもない。それはメンバー“5”人を表しているようでもあり、ひいてはチームゼロヘルツをも連想させる。このように、多くの含みを持ったツアータイトル(ロゴ)をステージバックの巨大LEDモニターに堂々と映し出しながら幕を開けたツアー初日のライブは、早々に我々の期待を大いに上回ることとなった。それというのも、1曲目から未発表の新曲「ZilemmA」を披露してきたのである! 微かにエスニックスケールを織り交ぜたタイトなロックサウンドに新境地が感じられ、聞き取ることができたフレーズから察するにこれは、“生きる上でのジレンマ”を歌っているようだった。正直なところ、この新曲に込められた意味を1公演だけで読み解くことは不可能で、Leo(Gt)が本公演中に「みんなと一緒に育てていければいいなと思っています」と話していた通り、ツアーで回を重ねる毎に核心に触れる糸口を掴めることを楽しみにしていたいところ。

「ツアー初日っていうと緊張だったり新曲があったり、新しい刺激が多い日だとは思うんですけども、それは初日にしかない特別な楽しみ方だと思いますし、今日は今の零[Hz]が出せる最大限のかっこいいを届けたいと思いますので、しっかり受け取って、最後の最後まで楽しんでいってもらえたらと思います」――ROY

見事に、冒頭から大いなる刺激を与えられることとなったこの日のライブ。ツアー初日ということもあり、これから多くの公演を控えていることも踏まえてライブの様子を詳細に記すことは意図的に控えるが、新曲からライブを始めるという気概にはじまり、各自のソロパートにスポットがあたる楽曲が多くセレクトされ、個々の音楽的なアピールポイントが光っていた部分をとってみても、“今の零[Hz]が出せる最大限のかっこいい”を感じられるアクトであったことは間違いない。しかし零[Hz]の魅力は、根幹にあるロックチューンでダイナミックに臨場感を描き出す様と、人々の心にダイレクトにアプローチするエモーショナルな歌もの、その両方を孤高な歌唱力とバンドサウンドをもって手堅く披露するテクニカルな部分に留まらない。ROYの言葉を借りるならば「なによりも来てくれたみんなに楽しんでもらえるように、幸せになってもらえるようにという一心で、今日もステージに立っている」という熱い“気持ち”が込められていることこそが、このバンドの強みでもある。だからこそ、バンドを主軸にファンや彼らを取り囲む人々と作り上げる一体感に垣間見れるチームの力もまた“かっこいい”といえる象徴的シーンであり、ツアーを経てさらに洗練されていくであろう片鱗も感じられた。

そして、ツアー初日ということとはまた別の意味での“特別”があったとも言えるこの日。それは、『REGION ZERO』ツアーのファイナル公演以来2年ぶりにZepp Shinjukuへ立ったということだった。TEIKA(Ba)も「前は最後(ツアーファイナル)だったんだけど今回は初日で帰ってこれて、今日しかできないような演出とかもたくさんあったりして、いい1日になっているんじゃないかと思っています」と話していたように、この会場でやるからこその特別感をしっかりとメニューの中に織り交ぜていた。中でも、2年前のZepp Shinjuku公演を彷彿とさせたのが本編を締めくくった『POSE』から『SINGULARITY』の流れ。いつだって『POSE』にある“You should be just the way you are”(=君は君らしくいるべきだ)というフレーズをLEDモニターいっぱいに映しながら披露する力強さには背中を押されるし、『SINGULARITY』で目の当たりにするチームで特異点を目指す前向きな志には感服させられる。時が経っても変わらないもの、さらに言うなれば時が経つにつれて説得力を増していくところにこそ、零[Hz]のポテンシャルが表れていると言っても過言ではない。

「零[Hz]史上最高のツアー、始めようぜ!」

ライブ中、何度も“最高のツアー”を強調していたROY。さらにアンコールでは「今日来てくれたみんなもそうだし、これから出会うチームゼロヘルツと一緒に1本1本大事にしてツアーファイナルを迎えて、また進化をしてっていう繰り返しではあるんですけど。やっぱりそれを重ねていくごとに僕らはかっこよくなれていっているので、みんなと一緒に零[Hz]をかっこよくしていきたいと思います。これからもよろしくお願いします」と、バンドにおける進化の過程においてツアーというものが大きく作用するという醍醐味も伝えていた。こうして、ライブを通して進化してきた象徴的な楽曲『VENOM』でライブを締めくくることとなったが、曲中にある“今逢いに行くよ”がツアーの幕開けともリンクし、最後の最後に宙を舞った銀テープがまるで走り出していくチームゼロヘルツの姿を後押ししているようでもあった。

まずは、ここからSAGA 1のファイナルである7月23日のZepp DiverCityを目指していくことになる。しかし、Rio(Gt)も「8年目、気合いを入れ直して今年1年をかけて渋公をやる」とも話していたが、やはり10月23日に控えるLINE CUBE SHIBUYAにかける思いはひとしおだろう。しかし肩ひじ張らずに、「高身長の仲間入りを果たした!」と朗らかな話題を交えながらロングツアーへの楽しみをストレートに語っていたRYOGA(Dr)のように、仲間と1つ1つ充実した日々を過ごしていくことが何より大切なことだと零[Hz]は知っているはずだ。次に彼らを目にしたとき、どのような進化を遂げているのか? それは、是非各々の目で確かめていただきたい。

Report:Ayako Hirai
Photo:かわどう

[SET LIST]

  1. ZilemmA
  2. Changing Mrs.SATELLITE
  3. VANITY
  4. Aim for HEAVEN
  5. TRINITY∴ONENESS
  6. SURVIVE
  7. ZEUS
  8. ZIHARD
  9. DAZZLING ABYSS PARADE
  10. 6ad6i6le
  11. DarthHerz
  12. POSE
  13. SINGULARITY

EN-1. トリップランド
EN-2. enigma
EN-3. 叶えたい夢と、守れない君と
EN-4. HERO
EN-5. VENOM