【LIVE REPORT】Ashmaze.主催EVENT「宿命論」開催。Vo.遼を迎え、新たに“Azavana”(アザバナ)として歩み始める決意を表明。「今日からこの5人で走っていくんで、よろしくお願いします」
Ashmaze.主催EVENT「宿命論」
9月2日(月) 赤羽ReNY alpha
9月2日、赤羽ReNY alphaにて行われたAshmaze.主催EVENT「宿命論」。〈世の中の出来事はすべてあらかじめそうなるように定められており、その定めは人間の努力では変更できない〉とされているのが一般的な「宿命論」であるが、ここでいうそれについて“人間の努力では変更できない”という点だけは少々異なる。
4月にボーカル脱退を受けてもなお、諒,詩結,Яyu,S1TKは一切動きを止めることなく進み続ける道を選んだ。“メンバーボーカル”として4人が代わる代わるボーカルを担いながらライブを行ったこともあれば、ゲストボーカルを迎えてライブを行った日もあり、今回の主催イベントにも出演した猟牙(RAZOR),巽(XANVALA)もボーカルとしてバンドをサポートすることがあった。これらすべてがバンドの息の根を止めない“努力”とするならば、この日掲げていたのはAshmaze.の手で生み出したオリジナルの「宿命論」であったようにも思う。
主催ライブにはAshmaze.をはじめ、RAZOR、XANVALA、NICOLAS、JILUKAが出演。その中には、最後まで“???”となっていた出演者がいた。これが示すものに対してはいろんな推測が飛び交っていたのだが、実際にその答えはイベントの最後に明かされることとなる。そして、その正体をより鮮明とする伏線は、まさかのオープニングアクトとして登場した4人体制のAshmaze.のステージの最後にあった。
先述したような“メンバーボーカル”スタイルをとり、諒と詩結のギター隊が交互にマイクをとりながら歌う形で「サイレン」「カゲロウの錯覚」「拝啓、嫌いなお前へ」「INNOCENCE」の全4曲を披露。楽器隊それぞれが作曲に携わっている楽曲がセレクトされていたのも興味深かったが、中でも最後に披露した「INNOCENCE」は、Ashmaze.がこれまで“苦悩の出口”という一貫したコンセプトをもとに同志を牽引してきた楽曲でもある。結果的に、4人が“Ashmaze.として”最後に「INNOCENCE」で締めくくったことは、ある種1つの決着を意味していたとも受け止めることができた。
「ありがとうございました。Ashmaze.でした!」と諒が叫び、詩結の「4人になっても、変わらずついてきてくれてありがとうございました。今日1日を通して、僕らがどこに向かっていくか、見届けてください」という言葉でオープニングアクトの時間は締めくくられた。ЯyuやS1TKもフロアへしっかりと感謝の意思表示をして全員がステージを後にすると、暗転した会場に映し出されたのはシルエットの写真。その人影は確かに“5人”で、すべては主催イベントのラストに明らかとなった。
各バンドのステージを経て、いよいよ大トリが登場。幕が開くとそこには、ボーカルポジションに遼が立ちはだかり、凛と佇む5人の姿があった。そして、背景のモニターには大きく“Azavana”とある。これは、紛れもなくこの5人を表すものであると超満員の観客が飲み込んでいく間には、歓声を上げる人、中には固唾を飲んでその動向を見つめる人とが入り混じって、得も言われぬ緊張感に包まれていた。幕開けから演奏がはじまるまで時間にして30秒ほどであったが、体感としてはそれよりも長く感じられたのは5人の気迫があってのことだったのかもしれない。
ダークな空気感を助長するヘヴィなサウンドが轟いた新曲「カトレア」で存在感を表明すると、「Azavanaです。よろしくどうぞ!」と遼がシンプルに挨拶。その後、Ashmaze.が生み出してきた3曲を立て続けに披露した。“傷と共に背負わせて”という最後のフレーズが妙に耳に残った「GENOM」や、遼のビブラートが冴えわたり退廃的な世界観が引き立った「渇き」。そして「三日月がただ遠い」では、儚さと、それを凌駕する苦しいまでの嘆きといった強いコントラストを歌と演奏が織りなす巧みな表現力をもって魅了していく。
ノンストップに、ただひたむきに楽曲を演奏することに徹する形でAzavanaを叩きつけるようにしてのお披露目。そのラストを飾ったのは、バンド名にも通じる「痣花」。初めて耳にしたこの曲の中で印象的だったのは“終わりのない願い”という言葉で、メロウな曲調に乗せて込められた思いのたけを表すような多弁花が開花していく映像にあわせて、着実に届けられた。
「今日からこの5人で走っていくんで、よろしくお願いします」(遼)
こうしてメンバーがステージを去ると「痣花」のMVが公開となり、続けて10月24日に池袋・harevutaiにてAzavana 1st ONEMAN 「灰の海に泳ぐホタル」を開催することが発表された。さらに、10月28日には代官山UNiTにてЯyuのバースデーワンマン、11月7日には東京キネマ倶楽部にて諒改め諒平のバースデーワンマンが決定。11月13日には、1st Mini Album「0=」と「回想録」が2枚同時リリース(10 月16日からサブスクリプションにて配信)される。
かつてAshmaze.と、遼が在籍していたVIRGEは対バンを重ね、“戦友”という関係でもあった。2マンライブを開催した際には、この日も披露していた「渇き」をVIRGEがカヴァーしたこともある。ここ赤羽ReNY alphaも、彼らが最後に2マンライブを行った会場でもあり、その場で両者が融合し、新たなスタートを切ることになったことも一つの運命だったのかもしれない。そして、Azavanaとして1st ONEMANを開催する池袋・harevutaiはAshmaze.が初めてワンマンライブを開催した会場でもあり、ここからまた一つのストーリーが本格的に動き出していくこととなる。
遼という新たなピースを得ることで、ハイブリッドな生命体として生まれたAzavana。これまでの活動の延長線で名前が変わり、新たなスタートをきることになったということは事実。しかし、これまでAshmaze.を追いかけてきた1人として書き残しておきたいことは、彼らがこれまで作り上げてきたことがゼロになることはないということ。実際にこの日も既存の楽曲が再構築を経て披露されていた事実があったし、なによりもAshmaze.が一貫して人が抱く“苦悩”と向き合いながら築いてきたものと、遼が歌に託してきた“痛み”が融合することによって描かれていく新たなストーリーは確実に強い影響力を持つものになるであろうことに期待を抱かずにはいられない。これは、それぞれが生きてきた軌跡があってなせる業である。ライブを通して多くの言葉で語ることがなかったAzavanaの本質は、今後に控えるワンマンライブやリリース作品で徐々に明らかになっていくはずだ。「痣花」のMVにてモノトーンから色づく描写があったように、これから“花”をモチーフとして開花していく未知なるものの行方を追いかけていきたい。
Report◎Ayako Hirai
Photo◎Lestat C&M Project
[セットリスト]
O.A. -Ashmaze.-
- サイレン
- カゲロウの錯覚
- 拝啓、嫌いなお前へ
- INNOCENCE
Azavana
- カトレア
- GENOM
- 渇き
- 三日月がただ遠い
- 痣花
[チケット情報]
◆10.24(木)harevutai
Azavana 1st ONEMAN
「灰の海に泳ぐホタル」
OPEN18:15 / START19:00
前売¥4,500- / 当日¥5,000‐ (各+D代)
チケットe+
●プレオーダー受付期間
09.06(金)12:00 ~ 09.16(月)23:59
●一般発売
09.28(土)10:00~
■購入ページURL
https://eplus.jp/azavana1024/
◆10.28(月)代官山UNiT
Azavana Presents
Яyu Birthday ONEMAN
「IDEAL」
OPEN17:15 / START18:00
前売¥4,500- / 当日¥5,000‐ (各+D代)
チケットe+
●プレオーダー受付期間
09.20(金)12:00 ~ 09.30(月)23:59
●一般発売
10.12(土)10:00~
■購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/4176120001-P0030001
◆11.07(木)東京キネマ倶楽部
Azavana Presents
諒平 Birthday ONEMAN
「狂喜乱舞」
OPEN17:15 / START18:00
前売¥4,500- / 当日¥5,000‐ (各+D代)
チケットe+
●プレオーダー受付期間
09.20(金)12:00 ~ 09.30(月)23:59
●一般発売
10.12(土)10:00~
■購入ページURL
https://eplus.jp/azavana1107/