【LIVE REPORT】SPLENDID GOD GIRAFFE、苦楽を共にしてきたメンバーと迎えた2周年。「最強の2年生だと思っているので、これから先も楽しみにしていてください」

SPLENDID GOD GIRAFFE

2nd Anniversary Oneman Tour『麒麟二年搾り』-TOUR FINAL-

2024年4月29日(Mon.) 渋谷REX

SPLENDID GOD GIRAFFEが始動から2周年を迎えるにあたり、臨戦態勢を整えて挑んだワンマンツアー『麒麟二年搾り』のツアーファイナル公演が、4月29日に渋谷REXで開催された。本公演のオフィシャルレポートをお届けする。

全5公演からなる今回のツアーは、全ヵ所入場無料という大盤振舞で開催されたのだが、そこには“感謝”の気持ちが込められていたことに加え、「今のSPLENDID GOD GIRAFFE(以下:SGG)を多くの人に観てほしい」という自信の表れからの選択でもあった。某ビールの“一番搾り”は、うまみが詰まった部分のみを用いて作られていることに由来するそうだが、SGGの『麒麟二年搾り』も同じく、2022年4月29日に始動してからの2年間で構築してきたバンドのスタイルや楽曲をフルに発揮し、極上のうまみが凝縮されたライブを展開したのである。

ダークさを纏った独特な世界観を象徴する「Till death do us part」からじっくりと誘い込み、彼らの原点でもある「EVE」へ――まるで絶望の深淵から、葛藤を乗り越えた先にある一縷の希望へと手を伸ばすといった、SGGそのものを印象付ける完璧なオープニングだ。そこへ、最新シングルに収録されていた「TEXTURE TEXTURE」へ一気に畳みかけると、秀人(Vo)の「派手にどうぞ!」の合図でモッシュの波を起こし、ライブ感を意識した男らしいハードナンバーに公佑(Gt)とTACC(Ba)のロックサウンドの要となるプレイもしっかりと存在。中でも、一際目を惹くのが秀人だ。公佑がこの日のMCで「“ドラマーからボーカルへ転身した”という話をするのも違和感があるくらいに、俺の中では誰にも負けないボーカリストになったと思ってる」と話していたことに大いに頷けるほど、色気のある低音ボイスを武器に貫禄のオーラを放ち、さらには時折絶妙なタイミングで華麗にターンなどして魅せるのだから、思わず感嘆してしまう。ハンズクラップに沸いた「FAKE SPIRIT」でも、“ありふれた言葉になっちゃうけど”に続いて“愛してます”と丁寧な口調に歌い替えて深くお辞儀するといったユーモラスな表情も見せていた。

そして、ライブが進行していくにつれてSGGの真髄に迫っていく。艶めかしさを帯びた「TRANCE」に続いた「ADDICT」のように、痛みを力に変えて何度でも立ち上がる様が投影された楽曲が映えるのは彼らの軌跡と重なるからだろう。さらに、ダウナーな「Orphelin」の最後に秀人が天に向かって手を翳したそこへ、壮大かつ儚げな「SPLENDID HEART」を繋げていくストーリー展開が絶妙で、演出効果で映し出された公佑とTACCのシルエットを背負うようにして諦めない可能性を込めた曲を歌う秀人の姿がなんとも頼もしい。そして、「久遠」のキャッチーなメロディアスな楽曲へと続いていくのが実にドラマチックだった。

ここで、2周年を振り返りながら秀人は「気づいたら2年経ってたっていう感じがするんですよ。“もう2年か”と“まだ2年か”がごちゃごちゃしてる」と話しつつ、「ツアー各地、すごく熱かったんだよ。でも、今日は超えられると思ってるんだ」と付け加えて向かった後半戦。「TRIDENT」で勢いづき、続いた「ISOLATION」。デジタルサウンドとバンドサウンドが豪快に融合するサウンドメイクが作り出すフロアの一体感は、SGG以前から築いてきたものが踏襲された側面を感じさせる。そんな曲中、TACCが手遊びで麒麟を表していたことも印象深い。そして、間髪入れずに「DIRTY HONEY」で白熱し、ラストは熱のこもったタイトルコールから「QILIN’G ME」で締めくくられた。「QILIN’G ME」も最新シングルに収録されている楽曲であるが、本編ラストにリアルタイムなバンドの心境を伝えようとする姿勢も潔い。「EVE」のスピンオフとして秀人が歌詞を綴った曲でもあり、逸脱した強さで高みを目指す気持ちを痛快なサウンドに乗せて届ける、その様子を例えるならば“聖戦”と言ったところだろうか。そんなソウルフルな楽曲を演奏中、メンバーがセンターへ集結するのもまたアツいシーンだった。

SGGは、秀人、公佑、TACCの“3人が”共に音楽をやっているということに、何にも代えがたい価値を感じられるバンドである。それをアンコールでの出来事を踏まえて補足していくと、1周年のタイミングで“3人で音楽を続けていく選択をして、みんなと一緒に夜明けを見たいという気持ちを込めて作った曲”として披露した「UNICORN」に始まり、TACCが「結局、“誰とするか”が大事なんだなと思っているから、こいつらと一緒にいるんだなって結構マジで思ってて」と話したことや、公佑が「最近、老後のことをよく考えるんですよ(笑)。70歳でハイエース(の運転)は無理だな~とか。でも今は、その頃の3人が楽しみ。このまま人生として続けていきたいですね」と話したこと。さらに、秀人が“ファンであり、尊敬している”と話した公佑とTACCが信じてくれたからこそ、今までやってきたことを活かしながらボーカル転身からのこれまでを頑張れたと話したことからも、3人の中には揺るぎない絆が伺えた。

「2年やってきたら、こんなライブを作れるようになりました。一緒に作り上げてくれたことに感謝です。2年でも、僕の中では最強の2年生だと思っているので、このバンドは3周年に向けて思い切り突き進んでいきたいと思いますので、これから先の活動も楽しみにしていてください」――秀人

さっそく、5月29日からは『新東京遊撃作戦』と題した主催イベントツアーがはじまる。公佑の言葉を借りるならば、「SGGは我が道を行こうと思っていて、誰にも屈さないでいこうと。僕らの生き様をみんなの人生の片隅にでも置いてもらって、一緒に生きて行けたらと思う」という言葉通り、これからもまさに唯一無二のスタイルで、SGGにしかないドラマを紡いでいくことだろう。

Report:Ayako Hirai

[セットリスト]

1.Till death do us part

2.EVE

3.TEXTURE TEXTURE

4.FAKE SPIRIT

5.TRANCE

6.ADDICT

7.Orphelin

8.SPLENDID HEART

9.久遠

10.TRIDENT

11.ISOLATION

12.DIRTY HONEY

13.QILIN’G ME

En1.UNICORN

En 2.TEXTURE TEXTURE

En 3.EVE

WEn.QILIN’G ME