【LIVE REPORT】Royz、「下剋京」ツアーファイナルで見せた、“下剋上のその先”に見たRoyzらしい在り方
Royz SPRING ONEMAN TOUR「下剋京」
-TOUR FINAL-
2024年4月30日(木) Spotify O-EAST
Royzが、SPRING ONEMAN TOUR「下剋京」のツアーファイナル公演を4月30日、Spotify O-EASTで行った。
「下剋上のその先へ」
ライブ中、何度も繰り返されていたこの言葉。3月6日にリリースされたマキシシングル「GIANT KILLER」を引っ提げ、<バンドとして大きなことができる準備が整った>と臨んだ今ツアーでRoyzはまた、大切なものを掴んできたようだった。
「Daybreaker」からの幕開けは、穏やかな“夜明け”というよりもむしろ力強かった。その強さの根源にあるのは、巨大なモニターに映し出された時計の歯車が象徴する時間の経過の中で感じてきた絶望へ、真っ向から対峙できるバンドの自信ゆえのものだろう。それが確信に変わったのが、「GIANT KILLER」への完璧な流れ。新たなアンセムとして生み出した「GIANT KILLER」は、いわゆるそういう体(てい)の曲に留まらず、ツアーを経てメンバーとファンの士気を高める形へと完成させてきたことが伺える。それを物語っていたのは、会場に漂う痛快な熱気に他ならない。「疾風迅雷」でも、昴(Vo)が「中途半端じゃ先に進めないぞ」と焚きつけた通り、誰もが声を張り上げながら全力でぶつかっていった。
「ツアーファイナル“みたい”ですね。なぜこんな言い方をするかと言うと、1本1本ツアーファイナルと変わらない気持ちでやってきたからです。だからやることは変わらへんけど、ツアーファイナル、盛大にやりたいよねぇ!?」と昴の挑発的な口ぶりが煽り、「伝説の夜にしましょう」と続けた「witch in the HELL」のようにヘヴィな楽曲こそが、Royzが現在抱いているアバンギャルドな精神から放たれる強いニュアンスの言葉にベストマッチしている。さらに迫力のバンドインで「クロアゲハ」を畳みかければ、智也(Dr)の存在感のあるドラミングと公大(Ba)がキメるスラップが重心を支え、さらに時折口元をニヒルに歪めながら男らしいギターを奏でる杙凪(Gt)が最高にROCKでシビれた。
ここで、「GIANT KILLER」に収録されていた公大作曲の「INCUBUS」と杙凪作曲の「Foxy」を並べて披露。「INCUBUS」は振付レクチャーもあったようにヴィジュアル系特有のライブの情景を網羅しつつ、ソロ回しに加えて昴の色気のある表情まで堪能できた。一方「Foxy」では、個性的なギターフレーズを節々に挟みながら楽曲としての聴き応えを発揮し、両曲に表れた作曲者それぞれの“ヴィジュアル系観”がライブでも興味深く表れるセクションとなった。
暗転から続いたのは、ド頭をアカペラから始めた「Sly」。杙凪はアコースティックギターを手にバンドインしてからもなお、先ほどまでの狂騒ぶりが嘘のように観客はステージへくぎ付けになっていた。ノスタルジーな「丸の内ミゼラブル」でも慕情に溢れ、報われない恋心を表現する大人びた世界観で魅了する場面も。「DERRINGER -41口径が叶える復讐-」でも恋愛がモチーフとなっているものの、沸々と湧き上がる気持ちを装填していくかのようで、見事に後半戦を勢いづける引き金となった。「極上の下剋京に誘(いざな)う――」と前置きし、タイトルコールをした和旋律が際立つ「KAMIKAZE」や、豪快なデカダンスサウンドを轟かせた「キュートアグレッション」、さらにウォール・オブ・デスを起こした「開眼」と容赦なく攻め立てていく。曲を追うごとにボルテージが昂っていく中、決死の航海に準えて「もっと愛し合おうぜ!」と届けた「NOAH」で溢れかえる激情といったらない。そんな“絆”を感じさせるドラマチックなシーンに胸を打たれながらも、「止めを刺そう」と「RAIZIN」を通して“死に場所”というフレーズのもと究極を最後の最後まで追い求めていくのだから、バイタリティに溢れる今のRoyzには敵わない。
アンコールでは、「いいツアーでした」という言葉を添えて「春ノ夜ノ夢」をはじめ全5曲を披露した。今回のツアーを「楽しかった」と口々に振り返る中で、昴はいい状況だったにも関わらず15周年へ向かうプレッシャーや、前回行ったツアーのタイミングから大きな夢を口にするようになっていたことを踏まえた悩みも抱えていたという。その答えとも取れる“何がゴールか”という昴の見解に、冒頭で触れた今ツアーで掴んだ“大切なもの”が表れていたように思う。それはズバリ、夢を叶えることに躍起になって見失いがちだった“Royzって、何が良いんだろう?”ということだった。本編を思い返しても、「INCUBUS」の振付レクチャーで昴が楽器陣へ無茶振りをして笑いが起こったり、「キュートアグレッション」で智也を筆頭にフロアを楽し気に煽る場面があったりと、一貫して緊張感がある中で思わず「Royzらしいな」と感じるシーンがあった。Royzが持っているバンド感は、“メンバーと楽しいことをやりたい”というとてもシンプルなことから生まれるもの。その雰囲気を味わえる曲に、アンコールでも披露されていた「ACROSS WORLD」があるのだが、この日は“楽しい”が爆発していた “あの頃”を彷彿とさせるものが感じられた。もちろん、公大と杙凪がサビでコーラスを添えたり、昴が意を決した表情でメンバー1人1人に歩み寄って拳を突き合わせたりといった成熟した部分は確実にある。それらすべてが合致し、金テープが舞う中で見せた15周年を目前に控えて見出した“Royzらしさ”は眩しいほどに誇らしいものだった。オーラスは本編でも披露された「GIANT KILLER」だったのだが、冒頭でサビを観客と共に合唱する形にし、より刻み込む形として届けられた。きっと、“ジャイアント・キリング”したかったもの、もしくはするべきものは他者ではなく自分自身だったのかもしれない。そんなことを思っていた矢先、昴が掲げた「下剋上」と書かれた旗は見事に自分自身を越えてみせたバンドを象徴しているかのようで、まさにそれは勝者の証でもあった。
「また、みんなにこれからの話をできました」――昴
ここからRoyzは、15周年へ向けて派手に仕掛けていく。7月10日に27th maxi single「VENOM」をリリースし、その直後には7月13日の赤羽ReNY alphaを皮切りにスタートするSUMMER ONEMAN TOUR 「失楽園」が決定。ツアーファイナルとなるのが、すでに発表されている14周年ラストを飾る8月29日のZepp DiverCity公演と、15周年記念公演となる9月28日のなんばHatch公演となる。なお、今ツアーはペアチケット制度やスタンプラリー企画が行われるなど、大いに盛り上がるツアーとなりそうだ。その他、6月12日には渋谷REXで「ろいずの日~病み曲限定GIG~」と題したFC限定ワンマンや、7月3日にはNAGANO CLUB JUNK BOXにて公大生誕祭、7月5日には新宿BLAZEにて杙凪生誕祭が開催と、話題が盛りだくさんな“いい夏”となることだろう。
バンドがデカくなるのに、正解の形なんてない。それならば、昴が言う“Royzという最強の鎧”を纏って、みんなでRoyzなりのデカい夢を掴みにいこうじゃないか。
レポート・文◎平井綾子
写真◎KEIKO TANABE
[SET LIST]
1.Daybreaker
2.GIANT KILLER
3.疾風迅雷
4.witch in the HELL
5.クロアゲハ
6.INCUBUS
7.Foxy
8.Sly
9.丸の内ミゼラブル
10.DERRINGER -41口径が叶える復讐-
11.KAMIKAZE
12.キュートアグレッション
13.開眼
14.NOAH
15.RAIZIN
EN-1.春ノ夜ノ夢
EN-2.THE BEGINNING
EN-3.Set me free
EN-4.ACROSS WORLD
EN-5.GIANT KILLER
[RELEASE]
★Royz 27th maxi single「VENOM」
2024年7月10日(水)3type同時発売
■Atype【初回限定盤】CD+DVD
1,980円(税抜価格1,800円)/BPRVD-492 JANコード:4582281549271
CD2曲+DVD「」MV・メイキング
■Btype【初回限定盤】CD+DVD
1,980円(税抜価格1,800円)/BPRVD-493 JANコード:4582281549370
CD2曲+DVD「」マルチアングルMV
■Ctype【通常盤】
1,650円(税抜価格1,500円)/BPRVD-494 JANコード:4582281549479
CD2曲+ボーナストラック2曲+インスト4曲
[LIVE]
本ツアーは全公演ペアチケット制度を行います!!
ぜひお友達やご家族の方等たくさんの方とご来場ください!!
Royz SUMMER ONEMAN TOUR 「失楽園」
2024年
7月13日(土)【東京】 赤羽ReNY alpha
7月14日(日)【千葉】 柏PALOOZA
7月20日(土)【埼玉】 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
7月21日(日)【神奈川】 新横浜 NEW SIDE BEACH !!
7月27日(土)【静岡】 浜松窓枠
7月28日(日)【愛知】 名古屋E.L.L
7月31日(水)【岡山】 岡山IMAGE
8月03日(土)【福岡】 福岡DRUM Be-1
8月06日(火)【兵庫】 神戸VARIT.
8月08日(木)【滋賀】 滋賀U★STONE
8月10日(土)【京都】 KYOTO MUSE
8月11日(日)【大阪】 umeda TRAD
8月17日(土)【宮城】 仙台darwin
-TOUR FINAL-
「14th LAST LIVE」-星に決意を-
8月29日(木) 【東京】 Zepp DiverCity
Royz 15th Anniversary ONEMAN LIVE 「15th FIRST LIVE」-星に誓いを
9月28日(土)【大阪】 なんばHatch
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Royz WINGS限定ワンマン 「ろいずの日~病み曲限定GIG~」
2024年6月12日(水)【東京】渋谷REX
Royz ONEMAN LIVE 「公大生誕祭2024 ~君の心臓に口づけを。~」
2024年7月3日(水)【長野】NAGANO CLUB JUNK BOX
Royz ONEMAN LIVE 「杙凪生誕祭2024~BLACK OR WHITE~」
2024年7月5日【東京】 新宿BLAZE