【LIVE REPORT】ビバラッシュ、ワンマンツアーを憧れの“Zepp”にて完遂!――「みんなの笑顔を守りたい」

ビバラッシュ LIVE TOUR 2023 WINTER
OUT OF THE BOX 〜◯◯の箱〜 FINAL
2024年2月6日(火) Zepp Shinjuku

ビバラッシュが、2023年11月から2024年にかけて行ってきた全15公演からなるワンマンツアー「OUT OF THE BOX ~◯◯の箱~」のファイナル公演を2月6日、Zepp Shinjukuにて開催した。

定刻、暗転と同時に映し出された映像。その内容は、SEが流れる“スタート”ボタンを、観客がペンライトを振ることで得た電力によって押すことができたというもの。無事にSEが会場に流れ出すと、ステージ中央に設置された巨大BOXからメンバーが飛び出し、四方八方に放たれたメタルテープが開演を彩るようにして幕を開けた。――と、もうすでに情報過多! もちろんこれは褒め言葉であり、これぞまさしくアゲみ集団・ビバラッシュが送る、観る者の“楽しい”を引き出すライブにふさわしいオープニングだ。

もはや助走など必要なく、フロアに広がるペンライトが小刻みに揺れた「ビ⚡ビ⚡」からボルテージはMAX状態。そこへ「Merry-Merry-Merry-Go!!-Round☆」へ続いた途端、ヘッドバンギングやモッシュの波を起こす観客へるいまる(Vo)は、「やるじゃん!」と絶好調を示す笑顔を浮かべた。さらに、〈すべての音楽を網羅し、ヴィジュアル系ロックに魂を捧げた音楽の神〉という言葉を交えながら、某漫才決戦番組さながらのナレーションと寸劇を挟むと、その様子に「俺たちは漫才しにきたんじゃねーんだ! ライブしに来たんだよ!!」と自らツッコミを入れるようにして続いたのは「なにしてんねん」。かつて活動の拠点としていた大阪をフィーチャーしたコミカルさがありながらも、聴き応えのあるロックサウンドとの融合によって確立した独自の音楽性。先のナレーションの中にもあった、楽しさを追求する中で発揮する〈高すぎるポテンシャル〉は決して過大評価ではない。そのポテンシャルは、パイオニア的にムーブメントを作り出す力も持っている。それを象徴としているのが、「踊らされた人生」だ。見事に踊り狂う観客たちをのせるのは、デジタルサウンドに輪をかけてインパクトを与える実直な演奏と、数々のパワーワードを連発していく歌。ここで何よりも痛快なのは、ビバラッシュにしか生み出せない多大なエネルギーに満ちた空間で、それぞれが“好き”や“楽しい”という感情に本能のままにまっすぐ向き合っていることがわかる情景。まさしく、この曲を演奏する前に必ずるいまるが言う「お前の人生、お前が踊れ」である。

MCでは、“Zepp”と名の付くバンドマンにとって憧れの舞台に立てたことを大いに喜ぶメンバーの姿があった。その喜びはこの日にかける意気込みとイコールで、ビバラッシュならではのエンターテインメント要素と、ロックバンドとしての本気さ、これらすべてを全力でぶつけていたことにしっかりと表れていた。「じょうずに〇〇できるかな」のようにヴィジュアル系のライブレクチャーというファニーさと、ライブ映えするサウンドを絶妙にチェンジングしながら聴かせたかと思えば、「FANTASTIC FLY HIGH」のような浮遊感をハイセンスにものにしながら「俺たちの夢はここで終わらない」と熱く語りかける一面もある。〈音楽業界の波に乗る〉という内容の寸劇を挟んでウェーブを起こした「もろたでニッポン!」や、「シャボン玉の夢」によって満たされたエモーショナルな空気の要因は、遠くで頑張る人を思いながら自分も頑張ろうと温かい心になれるという曲に込められた想いだけではなく、楽器隊が顔を見合わせて足並みを揃えるように演奏したワンシーンも含めてだった。ハイに押し上げるのはテンションだけではなく、「未完成爆弾」で伝えた「誰一人おいていきたくない」と手を掲げ合ったハートフルな気持ちもある。ビバラッシュというバンドには確実な強みはあるけれど、どこか一つを特筆するのはナンセンスで、それくらいどの側面にも満遍なく限界突破寸前の全力を注いでいるのだ。

ラストスパートに突入する前のMCでるいまるが近況トークで爆笑を誘い、極めつけに自作のCo2特効(※スプレー缶を腰につける仕様にしたもの)を装備。ハードに一体感を帯びた「喰ワズ嫌イ。」、某音楽番組の階段を下る登場シーンを想定した寸劇から“Zepp Shinjukuスペシャルバージョン”としてサークルモッシュを起こした「神ノミゾ知ル」へとヒートアップしていく。そこへ、“好き”な気持ち張り手で表した「ドス恋~とある横綱系恋愛体質乙女のパワータイプラヴ~」や、ラブリーかつパワフルな「ギガラバチェリハート♡」に続いて勢いよく「ラスト!」をコールし、「有頂天ラリアット」を畳み込む直前にるいまるはこう話した。

「俺たちはメジャーデビューをして、Zeppでワンマンができて、これは俺たちがずーっと掴みたかった夢。頑張って来た道の中にあったもの。でも、その夢に近づけてくれたのは紛れもなくDreamer(ファン)の力です、ありがとうございます!」

そして、「手、挙げろ!」の掛け声を合図にしたミュージックイン、一斉にフロア中に上がったまっすぐな手、そのすべてのタイミングがシンクロした瞬間の迫力に息をのんだ。「有頂天ラリアット」は、メジャーデビューシングルとしてビバラッシュがこれまでの楽曲のプロセスを総結集させて、新たな挑戦の場へラリアット級の衝撃をくらわせようと生み出した楽曲だ。その想いを歌に込めるるいまると、ライブカメラで手元を抜かれる画が様になるほどロック・ギタリストぶりを発揮する幸村、存在感あるベースで全体を支える冬也、シンプルなドラムセットからは想像もつかない程の力強いドラミングで全体を鼓舞するパーミーが一丸となってソウルフルに届けていく。なによりもこのエンディングに胸を打たれたのは、ビバラッシュの決意が、タオルを回したりヒップホップなリズムに手を掲げたりする多くの人々と共にマジョリティとして昇華されたことにあった。それは、大胆不敵に夢を追い続ける彼らが勝ちを手にする布石だったと言ってもいい。

アンコールでは、途中アドリブを交えて披露した「じょうずに〇〇できるかな」を始め、「たけのこチルドレン」「等身大Dreamer」といった、等身大でありながらそれぞれの存在を肯定する揺るがないメッセージソングで幕を閉じた。

今回のワンマンツアーで掲げていた、Dreamer(ファン)のいろんな表情を引き出すべく設けた“〇〇の箱”というテーマ。これをなせるのはビバラッシュのずば抜けたエンターテインメント性があってのことである。しかし、根本にあるのはもっとシンプルなこと。

「クサいこと言うようだけど、みんなの笑顔を守りたい」――るいまる

純粋でまっすぐな思いがある限り、彼らはこれからも進化を遂げていく。新たに発表された、『アゲアゲ⤴︎⤴︎ JAPAN ’24』と題された主催フェス開催や、9月29日のTOKYO FMホールまで各地を回る夏のワンマンツアーといった新展開にも期待がかかる。“ビバラッシュの箱”と言うべき「OUT OF THE BOX ~◯◯の箱~」の集大成には、喜怒哀楽といった感情に加え、たくさんの“夢”が詰まっていた。

-セットリスト-

1.ビ⚡ビ⚡(ビリビリ)
2.Merry- Merry- Merry-Go!!-Round☆
3.なにしてんねん
4.踊らされた人生
-MC-
5.じょうずに〇〇できるかな
6.FANTASTIC FLY HIGH
7.もろたでニッポン!
8.シャボン玉の夢
9.未完成爆弾
-MC-
10.喰ワズ嫌イ。
11.神ノミゾ知ル
12.ドス恋~とある横綱系恋愛体質乙女のパワータイプラヴ~
13.ギガラバチェリハート♡
14.有頂天ラリアット

EN1.じょうずに〇〇できるかな
EN2.たけのこチルドレン
EN3.等身大Dreamer

ビバラッシュがDreamerに贈る新境地の主催フェス
「アゲアゲJAPAN”24」
2024年5月17日(金) GORILLA HALL OSAKAで開催決定!

ビバラッシュ夏の大型ツアー決定!
7月27日(土) 西川口Hearts
7月28日(日) F.A.D横浜
8月3日(土) 柳ヶ瀬ants
8月4日(日) 静岡Sunash
8月11日(日) 富山soulpower
8月12日(月・祝) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
8月24日(土) 郡山HIP SHOT JAPAN
8月25日(日) 仙台MACANA
8月30日(金) 福岡DRUM Be-1
8月31日(土) LIVE rise SHUNAN
9月2日(月) 岡山IMAGE
9月4日(水) 京都MUSE
9月5日(木) KOBE 太陽と虎
9月7日(土) 高松DIME
9月14日(土) 阿倍野ROCKTOWN
9月15日(日) HOLIDAY NEXT NAGOYA
9月22日(日) 札幌Crazy Monkey
9月23日(月) 札幌Crazy Monkey
9月29日(日) TOKYO FMホール

Photo by yuiyamada / さかもと