Royz SPRING ONEMAN TOUR「来雷行脚」
5月22日(月)【東京】恵比寿LIQUIDROOM
Royzが、SPRING ONEMAN TOUR「来雷行脚」のツアーファイナル公演を 5月22日 恵比寿LIQUIDROOMにて行った。“死に場所をずっと探し続けている”――これは、3月にリリースされたMaxi Single「RAIZIN」の一節だ。一見センシティブとも取れるワードを用いたここに、Royzというバンドが生きようとしている息吹と、覚悟を感じずにはいられなかった。それと同等の想いを意気込みに変えて回ったのが、ツアー「来雷行脚」である。
電脳空間に誘うようなSEに乗せてメンバーが登場すると、昴の「ようこそ死に場所へ」という一喝に続いてコールされた「KAMIKAZE」が、オープニングを飾る。各々のポジションにドンと構える堂々たる出で立ちで沸々とこみ上げる意気込みを刻み込んでいくと、ラウドな「THE RUST EMPIRE」に乗せてメンバーはもとより観客も躍動し、「LEON」ではヘッドバンギングをはじめとする“今まで”を彷彿とさせる爆発力を発揮する中、一際目を惹いたのは荒々しく吠えるもスマートな男気を惜しみなく感じさせていたステージ上の4人の姿だった。同時に、ここ数年間のもがきの中で強靭なマインドを掴み取ってきたハイライトを思い返させるような幕開けが、非常にエモーショナルに映る。
暗転から智也の力強いドラムが口火を切る中、ツアーファイナル公演開催の前に発表された「コンサート開催ガイドライン」の廃止を受けて、昴は「元に戻ったんじゃなく、一歩先のライブを皆さんとしようと思う」と力強く告げた。その言葉に続いた「INNOCENCE」は痛快で、「VIPERS」ではRoyzスティックの光も揺れ、想定したライブ感は想像のはるか上を行く威力で体現された。ムーディーな空気を纏った「奴隷金魚」から「丸の内ミゼラブル」の流れも見事で、一層洗練させた心地よいノスタルジックな世界観が広がった。さらに、和旋律を交えて麗らかに届けた「月ハ蜃気楼、遠ク」に続いた「DAYDREAM」では、“会いたい”という尊い希望を再確認するような空間に温かい空気が流れていた。
暗転を挟み、「カルマ」の冒頭で昴が歌い上げたロングトーンに胸を打たれたのも束の間、ここに込められたバンドを通して“生きる”ことを諦めなかった4人の計り知れない想いに目頭を熱くさせられた。「行くぞ東京!泣いても笑っても今日が最後、やるしかねぇよな!」と「Satisfy?」では公大もマイクスタンドを前方へと持ち出して率先して叫び、会場が一体となって中指を立てながら胸の内を吐き出すと、「阿修羅」では見事混沌としたフロアをソリッドなギターを響かせながらご満悦な笑みで覗く杙凪の姿もあった。「生きてるか東京!息してんのか東京!」と声を振り絞るように問いかけた昴が、「Jack the Ripper」で白熱したフロアに向かって「最高に生きてるって感じがするよ」とメッセージ。ボルテージマックスの中で披露した「Eva」は、まるで異空間へトリップするかのように儚くも得も言われぬ壮大さをもって突き抜けていった。
「今日も最後まで全身全霊、全力でやります。今日、ここで最後でもいいと思いながら生きるのは不器用な生き方かもしれない。でも、最高に楽しいな、生きてるなって感じてます。さあ、最高の“死に場所”へ共に行こう」――昴
演奏するメンバーが時折口角を上げながら、実に清々しい表情だったこと――これ以上の答えはないと噛みしめながら聴いた「RAIZIN」。“死に場所”という言葉がけっして悲観的な言葉や意味ではないと証明するかのように、全力を投じられる現状に充実感を覚えながら、それを楽しんでいる余裕すら感じさせる強さを見せた。こんな風にして、Royzは自ら必ず自分たちの財産となるものを見つけ、つかみ取っていくのだ。そんなバンドに未来がないなんて、絶対に言わせない。
アンコールでは、メンバーのMCや微笑ましい場面をところどころに挟みながら、レギュレーションが無くなった今だからこそ嬉しいラインナップを用意。ウォールオブデスが起こった「開眼」や、「ACROSS WORLD」では手をつないで大きくモッシュの波が揺れる情景の再来に胸を打たれ、歓声が上がった「鬼ト邪吼」ではステージへ詰めかける逆ダイブを何度も起こした。こうして、大合唱が起こった「ANTITHESIS」で締めくくるまで、実に全6曲を披露。そして、ライブの最後には「ちゃんと未来、用意してるんで!」と「詳細は近日解禁!続報を待て!」という言葉と共にメンバーがシルエットなった写真が映し出された。“近日”は明言されていないが、5月28日に日比谷野外大音楽堂にて行われる同レーベル所属の己龍主催による「我龍天青」への出演も決定しており、ここで情報をキャッチできることになるのだろうか?続報を待ちたい。
「生きてまた会いましょう」――昴
こうしてRoyzがフォロワーの心を躍らせ続けられるのも、彼ら自身の力で未来を切り開こうとしている意思と、それに必要なエナジーを滾らせている“今”があるからこそ。この日、最後の一瞬まで無意識に各曲から拾っていたのは“生きる”というワードだった。アップダウンな道のりを歩み続けてきたRoyzのドラマは、彼らが「この先へ行こうと」と望み、叫び続ける限り終わることはない。
レポート・文/平井綾子(Ayako Hirai)
-セットリスト-
M1.KAMIKAZE
M2.THE RUST EMPIRE
M3.LEON
M4.INNOCENCE
M5.Killing Joke
M6.VIPERS
M7.奴隷金魚
M8.丸の内ミゼラブル
M9.月ハ蜃気楼、遠ク
M10.DAYDREAM
M11.カルマ
M12.Satisfy?
M13.阿修羅
M14.Jack the Ripper
M15.Eva
M16.RAIZIN
EN-1. Autocracy~ワルツとナイフ~
EN-2. 開眼
EN-3. 0
EN-4. ACROSS WORLD
EN-5. 鬼ト邪吼
EN-6. ANTITHESIS